六畳一間の物語
一畳 身をかわして
二畳 心を休めて
三畳 物を預けて
四畳 時空を超えて
五畳 間を仕切って
六畳 そしてまた繰り返し
そう だから ぼくが もっと 言いたいことは
海の底へ ずっと 奥へ 沈めてあって
自分から 取り出すような ことは
今ではもう なくなった
でも 本当に 必要な日には
ぼくが わざわざ 引き上げなくても
知らないうちに 共有してしまうって 信じているから
波に運ばれて いつのまにか 渡るって 信じているから
ぼくと あなたの ずっと奥の 底の 方にある 確信を
試しているのかもしれない
ぼくは 本当に いじわる になった
自分より大きいもの、自分より広いものに会って
はじめて 小さな自分に気づく
もうだめだと思っていた表皮が
グンと伸びる
好きなことを ひたむきにやっていたなら
大きいもの 広いものとの 引力がはたらくんだよ
ちょうどいいところを保っている時の
感覚を味わって
あっちでもこっちでもなく
じんわりと沁みていくのを 楽しんでいる時の幸せ
そっちでもどっちでもなく
ただ こんな感じ いいねと 浸っている時
満ち足りているのを 味わって
休日の厳しい瞬間
おやっ?
残念だったね
後先考えず
あたし6:4
あたし3:7
大きく越えるのは
まだ無理みたい
今日もミルクプリンを
食べてしまったもの
明日起きたら もしかして…
グレープフルーツが、
コーヒーの後味が、
苦い かもしれないから
君のほっぺに
ハチミツを塗っておこうよ
手のひらではねる
今日を合わせて
明日に捧げる
しのび込むと
シャッターを閉め切った 湿った工場で
汗水垂らして男たちが創っていたのは
美しい豆本だった
金の縁取りをほどこした抜かりのない仕上がりは
男たちの誇りであり ロマンだ
この8センチ四方の麗しき本に
男たちの欲望は渦巻いている
照りつける太陽のことも
風のやさしさも忘れて
男たちは鋭い目つきで仕事に励む
雲のつなぎめを探して飛ぶ
涙の止まらないトリが
とうとうくちばしを真っ赤にして
身を粉にして消えていった
厳しい寒さに耐えきれず
羽をなくしたトリは
どこへ飛ぶこともできずに
お腹を空かせていた
時折 季節の中で立ち止まること
トリの鳴く声についてゆけないでいると
もうすぐ日は暮れて
「もういこうよ」と僕を促す
疲れたの?
決まってない。
今までいたの?
それまでだったの。
あれ、しっていた?
ないてるの?
心配してるよ。
近づいてくる予感。
いなくなってる。
シナモンで
すーっとして
泣きながら
ハチミツぬって
ごらん、ってば。
もう花が散っちゃう。
気づいてよ。
笑ってるの。
見て、ってば。
知らないよ。
見てないと。
知らないよ。