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2012年03月05日

どこに棲んで どんな名前でいようと
あなたとわたしのはずが
どこに棲んで どんな名前を選ぶかで
壊れそうになる

あなたとわたしが鳥ならば  
仲良く小枝で巣を作り 
もしもふたりが 虫ならば 
毎日せっせと穴を掘る

季節が来れば旅に出て 
季節が来れば眠るでしょう

2012年02月21日

台所の流しの前に突っ立ってひとり
母が黙々と八朔を食べている 
手際よくむかれては口に運ばれる寸前を
遠慮なく横取りした 娘だった頃

母の顔は おいしそうでもうれしそうでもなかった
自分の分がほとんど食べられてしまっても
かなしそうでもなかった

仕事と家事に追われ どんより長い冬の中  
家人が風呂に入っている間に 
甘酸っぱいのを食べている あの時だけが
無心になれるささやかな悦びの時だったのだと

今 流しの前に突っ立ってひとり 八朔を食べる夜にわかる
その実はとてもおいしかったが 悦びは顔にでなかった
あの日の母みたいな顔をしているだろう

2011年05月23日


つまらないことをしては 美しさを忘れ
また置き去りにしている 奇跡のとき
どこまでも追いつけない 船にふたりは
のっているのか それとも ひとり小舟で
沖にゆれる 鐘の音も届かない 隔たり
眠っているときですら 流れ続ける 
血に溺れ 処理しきれない過去を 飛躍する
平凡にしようとするわがままを 美しい人が
踏みつける地の草 ひび割れた石の奥に
光を見る


2011年04月16日

わたしはあなたであり あなたはわたしです

2011年03月21日

見えている 僕には
もの凄いスピードで光りを取り戻した姿が
長靴をはき どっしりと足をおろした人が
泣きながらスコップで土を掘り起こしたかと思うと
もう道ができている 春の匂いする帰り道

季節はめぐり 他所の人が大げさに賞賛したが
彼らにはどうでもいいこと
今日もまた 泥にまみれた長靴で歩く
春の匂いする帰り道 

2010年10月22日

小さなこけしのようなものをもちたいのです
てのひらでそっとくるんで 
しずかに胸の奥へ潜めたいのです
 

2010年02月18日

音がすべてを解決する
悪く映るものも、善く映るものも
すべてを自由に導く
自由ははじめからここにあった
耳のない人が 注意深く澄ませると
波ははじめからここにあった
顕微鏡で見るような細胞に戻った人間は
もう戦争をすることができない
何ひとつ 選べない 好きなだけの夢をみて
目覚めたら 受け入れる ありふれた自由を

2010年02月11日

気持ちいいのだけつなぎ合わせて完成の途中の完成を収めた 音

1.宙に漂ううちに覚えた一番最初からあった子守唄
2.そこへ還るための入り口
3.ヒトデ、珊瑚その他深海生物の日常会話
4.ローブを手繰って上昇すると見えてくるゆらめき
5.特殊な実験装置のこだまを確認するための信号 

1.まだ寝息を立てている葦が群生する湖畔の早朝

1.ようやく殻を割って顔をのぞかせた新種の虫の産声
2.いつか争いを繰り広げた荒野に一人佇み風に吹かれる
3.砂漠の砂粒にくるまり眠りにつく王女
4.世界を旅した雲の祈りを結晶にしたペンダント
5.霞かき分け天高く昇ってゆく龍の鱗が摺れ合う 
6.ミツバチたちの一切無駄のない会議
7.館の隅に置き去りにされた死人の微笑み

2009年10月19日

おまえがなけりゃ ああこんなにも哀しい日々 
ぽっかりと穴のあいた虚しさよ
おまえがなけりゃ人生は こんなにも 
ゆたかになるはずがなかったのさ
歓びの朝も 愉しい午後も
夜には星のささやきさえも 
みんなおまえが連れてくる 
一杯の珈琲を ああ一杯の珈琲を

2009年10月02日

いまにも消えて無くなってしまいそう
どうにかして残したいと願う
一枚の写真とか地図とか手紙とか 一節の音楽
残したところできく人のない未来に
何を託す? 一人のこども ほほえみ
生まれ 覚えのない昔話を絵にするだろう
僕らの綴ったアルバムのように
汽車に乗り 空と海をゆく船を浮かべて
さみしさ連れて歩いた 僕より大事な人
きいておくれ 瞬きのうちに過ぎ去ろうとも
はかない永遠にむせた午後のあったことを

2009年08月28日

たべものであり、くすりであり
ははであり、こころ。
なかでねむると あたたまる。

2009年07月27日

もうすこししたらあなたがやってくる
小さな袋にいいもの持って
私は黄色の花びらを お皿に浮かべて待ってるわ
それから一緒に土の中 虫かごもって出かけるの
何千メートルおりたところに 静かに雪が降っている
幾何学模様のその虫を かごにそっとつめこんで
またあの部屋へ帰りましょう

溶けてしまった虫の背を 分からずにただ泣いてても
なんてことない煙のように ゆらゆら笑うあなたの合図で
その先はまたころがってゆく

明日になったら はりきって ミシンを踏んでスカート縫うわ
ゆうきのゆと めくじらのめを 分量よくつなぎあわせて
きっといつものおとくいさまが 気に入ってくださるに違いない
そしたら今夜はむらさきの 丸い花をコップに入れて
あなたが来るのを待ちましょう


2009年07月17日

枯れ蜻蛉のはなし

枯れ蜻蛉の体は青かった
貝の内側ように鋭く光る腹
砂漠を行く風は 美しい彫刻をつくった後
その青みでひと休みした
もっと小さな虫たちは その鮮烈に心を手に入れた
今はもうどこにも ひからびた羽があるだけ

2009年07月10日

町外れの自転車置き場で働くじいさんの
親指をなくした手が、あの日人類を救ったように
謎のツールを操るその手が、近く世界の危機に歯止めをかける

2009年06月05日

「もうちょっとここで もがきます」
という実験結果で あなたは奉仕を遂行し
次のスパイラルへ。まずはそれまでに必要な
受容と解放を。

2009年05月12日

大の字に寝そべって深呼吸ができる
黙々と歩き続けることができる
おでこを前髪で隠さない
日頃からそのような環境を
つくっておくことが大事です。
昇りすぎる状況にも
瞬間的なひらめきがくる。
根をはり、のびやかな状態の継続
いつでも木は生物の理想です。

2009年05月05日

空はいつも繊細でときどき大胆
海はいつも大胆でときどき繊細

ボートをつないでいるまに
気球に乗って山を越える

2009年05月02日

もっとなにか差し出せるものが
あるといいのだけど なんにもないので
月を見上げて ごまかしているのです

あと少しの間に 全部そぎ落として
それでも捨てきれなかったものを
贈ったとしても 足りないほどです

無意味をあげたいけれど 方法がわからない
すべて捨てたらヒントくらいは
見つかるでしょうか

2009年04月30日

どこにいても 何をしていても
ゆるがないものを持って 

「根っこが生えるような家をつくりたいのです」
と、僕は大工さんにお願いするのです。

いつでもどこへでも旅立てるようなものしか
置いていない家。に住む僕たちが
しばらくして姿を消しても
また 僕らみたいな人が暮らし続ける。

だから僕が言いたいのは、
泣き出しそうな感情を淡々と貫くやさしさに
憧れているということなのです。

2009年03月01日

人生とはかくも残酷で惨たらしく虚しき世界
どれだけ懸命に生きてきたと思ってみたところで
人の悲しみとねたみの渦巻く世の中では
おもいがけない飛び火によって一生の願いや夢を
一瞬のうちに打ち砕かれるやしれない

自らの意思と行動によって
幸せの何をも約束されることなどなく
悔しさの中に無力を思い知り
やりきれなさが押し寄せる
懸命に過ごしてきた日々すら結局は
幸せになりたいがための我でしかなかった
結局は善い行いの代わりに 
幸せの見返りをくださいと乞う乞食でしかなかった
今、残された道はどこにあるのだろう
儚くも裏切られる不条理な現実に見舞われ、手も足も出ず
ただ起きてしまったことの前で立ち尽くす私に残された道は

神も仏も大いなる導きも空となり
私はただ目の前に残された者に
人として献身的になるよりほかなにもない
一時の前後もなく、この一瞬を受け入れることを
繰り返し積み重ねてゆくほかない
どのような見返りもなく報いですらない

宇宙の片隅で戯れる美しい蝶と花
どんな風が吹こうとも
そこにはなんの計らいも根拠もないをこと知り
ただこの一瞬に寄り添っていこう

2008年05月11日

六畳一間の物語

一畳 身をかわして
二畳 心を休めて
三畳 物を預けて
四畳 時空を超えて
五畳 間を仕切って
六畳 そしてまた繰り返し

2007年10月28日

静かに ほほえみを 交わす
それだけのこと

すべてが報われる 

大きな本 小さな星 埋め立てられる田んぼ
家の灯り 今日僕が見たもの
石ころを蹴飛ばした

2007年10月01日

そう だから ぼくが もっと 言いたいことは
海の底へ ずっと 奥へ 沈めてあって

自分から 取り出すような ことは
今ではもう なくなった

でも 本当に 必要な日には
ぼくが わざわざ 引き上げなくても
知らないうちに 共有してしまうって 信じているから

波に運ばれて いつのまにか 渡るって 信じているから

ぼくと あなたの ずっと奥の 底の 方にある 確信を
試しているのかもしれない

ぼくは 本当に いじわる になった


2007年08月16日

今が大事
でも本当に今しか考えなかったら
誰も助からない

この部屋の中で100年後もあるものは、なんだと思う?

2007年08月15日

笑顔を。
ただひたすらに どんなときでも。

さみしい人
うれしい人
だまっている人
命令が嫌いな人
弱っている人
見えない人

笑顔は行動
ささやかな行動が世界を変える。

2007年06月06日

戦車を買うお金があるのなら
木を植えよう
銃を持つ手があるのなら
花を育てよう

女の股ぐらから、産まれようとするものを
男は力の限り引っぱった
やがて引きずり出たのは、木片。
胎盤にまみれ、まぎれもなくこの女が産んだ
人が木を産み
木が人を産む

2007年01月02日

必要なものは すべて あなたの中に

2006年10月10日

そろそろ支度を始めましょう
いい匂いがしてきたもの
行きましょう 行きましょう
約束なんてありませんの
お好きになさってよろしいの

電車でゆこう あの町へ この町へ
ゆられていこう 馬車でいこう 
誰にも言わずについていこう

どうぞおいていって 何百年でも 草の上に
どうぞおいていって 何千年でも 陽光の下に
地のうねりに耳を澄ませているから

木のあるところ
実のなるところ
山のなすところ

僕の街角に揺れる

2006年10月08日

リミットなんて決めずに 道ばたの猫のように

田の苗みたく 陽も雨も風も あるがままに受けて
取りに行かず 拒まず おごらず 卑下せず 

フリーでフラットでしなやかで ありたい

2006年10月06日

静かにしていると 見つかるものがあるよ

2006年09月13日

休日


休日の厳しい瞬間
おやっ?
残念だったね
後先考えず
あたし6:4
あたし3:7

大きく越えるのは
まだ無理みたい
今日もミルクプリンを
食べてしまったもの

明日起きたら もしかして…

グレープフルーツが、
コーヒーの後味が、
苦い かもしれないから
君のほっぺに
ハチミツを塗っておこうよ

手のひらではねる
今日を合わせて
明日に捧げる

2006年08月31日

題のないこと 自由なこと
リズムとテンポと足踏みと
丘に生える草と虫
占領されない空の色

蝉の脱け殻の完璧さに憧れて
脱皮したくなる 夏の終わり
君はもう脱皮したかい?

2006年08月24日

豆本

しのび込むと
シャッターを閉め切った 湿った工場で
汗水垂らして男たちが創っていたのは
美しい豆本だった
金の縁取りをほどこした抜かりのない仕上がりは
男たちの誇りであり ロマンだ
この8センチ四方の麗しき本に
男たちの欲望は渦巻いている
照りつける太陽のことも
風のやさしさも忘れて
男たちは鋭い目つきで仕事に励む

そうね 一生に一度でいいから
あなたと旅をしたいわ
電車に乗って 田んぼのあぜ道を歩いて
思い出をふたつみっつ取り出したら
町のはずれの画廊へ行きましょうよ
きっと小さな器が待っているわ
私たちにしか知らない色の
何も入れられない器が
「いいね」って言うと
「いいわね」って言うのよ
そうね きっとそうね
そして今までに一度だって経験したことのない
完璧な買い物をするの
はじめは私が持っていて
次に会った時は あなたが持って帰るの
私たちが会うたびに その器は
行ったり来たりしながら 次第に満たされてゆく
ゆっくり ゆっくり
やがて私たちがもう会えなくなるまで

お役目

時計台の中で 秘密の飴をなめている
ひと粒がすっかりなくなったら
外へ出て 針をひとつ進めているのが
この二人
街行く人はだあれも知らない
二人の役目のあるところ
ほんとうの ほんとうは…

受ける印象を 鳩がついばんで
お堀の奥深く 逃がしてあげる
だれよりも やわらかくあって欲しいので
簡単には現れない 
鳩の役目のあるところ
ほんとうの ほんとうは…

黒板の裏の文字を ひとつずつたどってゆけば
隠し部屋につながる
「まあだだよ」と肩をすくめる
あの子らを見たかい?
6人そろって準備する
彼らの役目のあるところ
ほんとうの ほんとうは…

トリ

雲のつなぎめを探して飛ぶ
涙の止まらないトリが
とうとうくちばしを真っ赤にして
身を粉にして消えていった

厳しい寒さに耐えきれず
羽をなくしたトリは
どこへ飛ぶこともできずに
お腹を空かせていた

時折 季節の中で立ち止まること
声についてゆけないでいると
もうすぐ日は暮れて

「もういこうよ」と僕をうながす

気だるい夜に


疲れたの? 
決まってない。
今までいたの?
それまでだったの。
あれ、しっていた?
ないてるの?
心配してるよ。
近づいてくる予感。
いなくなってる。

シナモンで
すーっとして
泣きながら
ハチミツぬって
ごらん、ってば。
もう花が散っちゃう。

気づいてよ。
笑ってるの。
見て、ってば。
知らないよ。
見てないと。
知らないよ。

シリーズ